《[日文]人间失格 作者 太宰治》

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[日文]人间失格 作者 太宰治- 第14部分


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の事でした。枺─舜笱─谓丹盲恳工扦筏俊W苑证厢Eって銀座裏を、ここはお国を何百里、ここはお国を何百里、と小声で繰り返し繰り返し呟くように歌いながら、なおも降りつもる雪を靴先で蹴散《けち》らして步いて、突然、吐きました。それは自分の最初の喀血《かっけつ》でした。雪の上に、大きい日の丸の旗が出来ました。自分は、しばらくしゃがんで、それから、よごれていない個所の雪を両手で掬《すく》い取って、顔を洗いながら泣きました。こうこは、どうこの細道じゃ?こうこは、どうこの細道じゃ?哀れな童女の歌声が、幻聴のように、かすかに遠くから聞えます。不幸。この世には、さまざまの不幸な人が、いや、不幸な人ばかり、と言っても過言ではないでしょうが、しかし、その人たちの不幸は、所謂世間に対して堂々と抗議が出来、また「世間」もその人たちの抗議を容易に理解し同情します。しかし、自分の不幸は、すべて自分の罪悪からなので、誰にも抗議の仕様が無いし、また口ごもりながら一言でも抗議めいた事を言いかけると、ヒラメならずとも世間の人たち全部、よくもまあそんな口がきけたものだと呆《あき》れかえるに摺い胜い贰⒆苑证悉い盲郡に驻摔いΑ袱铯蓼蓼猡巍工胜韦ⅳ蓼郡悉饯畏磳潳恕荬酩工毪韦⒆苑证扦猡铯堡铯椁胜い堡欷嗓狻ⅳ趣摔飷櫎韦郡蓼辘椁筏い韦恰ⅳ嗓长蓼扦庾浴钉韦氦筏椁嗓螭嗓蟛恍窑摔胜毪肖辘恰⒎坤工幛刖咛宀撙胜蔁oいのです。自分は立って、取り敢えず何か適当な薬をと思い、近くの薬屋にはいって、そこの奥さんと顔を見合せ、瞬間、奥さんは、フラッシュを浴びたみたいに首をあげ眼を見はり、棒立ちになりました。しかし、その見はった眼には、驚愕の色も嫌悪の色も無く、ほとんど救いを求めるような、慕うような色があらわれているのでした。ああ、このひとも、きっと不幸な人なのだ、不幸な人は、ひとの不幸にも敏感なものなのだから、と思った時、ふと、その奥さんが松葉杖《まつばづえ》をついて危かしく立っているのに気がつきました。駈け寄りたい思いを抑えて、なおもその奥さんと顔を見合せているうちに涙が出て来ました。すると、奥さんの大きい眼からも、涙がぽろぽろとあふれて出ました。それっきり、一言も口をきかずに、自分はその薬屋から出て、よろめいてアパ趣藥ⅳ辍ⅴ瑗纷婴藟c水を作らせて飲み、黙って寝て、翌る日も、風邪気味だと嘘をついて一日一ぱい寝て、夜、自分の秘密の喀血がどうにも不安でたまらず、起きて、あの薬屋に行き、こんどは笑いながら、奥さんに、実に素直に今迄のからだ具合いを告白し、相談しました。「お酒をおよしにならなければ」自分たちは、肉身のようでした。「アル中になっているかも知れないんです。いまでも飲みたい」「いけません。私の主人も、テ伽韦护恕⒕蚓皮菤ⅳ工螭坤胜螭蒲预盲啤⒕皮婴郡辘摔胜盲啤⒆苑证槭倜颏沥陇幛蓼筏俊埂覆话菠扦い堡胜い螭扦埂¥长铯啤ⅳ趣皮狻ⅳ坤幛胜螭扦埂埂袱aを差し上げます。お酒だけは、およしなさい」奥さん(未亡人で、男の子がひとり、それは千葉だかどこだかの医大にはいって、間もなく父と同じ病いにかかり、休学入院中で、家には中風の舅《しゅうと》が寝ていて、奥さん自身は五歳の折、小児|痲痺《まひ》で片方の脚が全然だめなのでした)は、松葉杖をコトコトと突きながら、自分のためにあっちの棚、こっちの引出し、いろいろと薬品を取そろえてくれるのでした。これは、造血剤。これは、ヴィタミンの注射液。注射器は、これ。これは、カルシウムの錠剤。胃腸をこわさないように、ジアスタ肌¥长欷稀⒑巍¥长欷稀⒑巍ⅳ任濉⒘Nの薬品の説明を愛情こめてしてくれたのですが、しかし、この不幸な奥さんの愛情もまた、自分にとって深すぎました。最後に奥さんが、これは、どうしても、なんとしてもお酒を飲みたくて、たまらなくなった時のお薬、と言って素早く紙に包んだ小箱。モルヒネの注射液でした。酒よりは、害にならぬと奥さんも言い、自分もそれを信じて、また一つには、酒の酔いもさすがに不潔に感ぜられて来た矢先でもあったし、久し振りにアルコ毪趣いΕ单骏螭椁韦欷胧陇纬隼搐胂菠婴猡ⅳ辍⒑韦诬P躇《ちゅうちょ》も無く、自分は自分の腕に、そのモルヒネを注射しました。不安も、焦燥《しょうそう》も、はにかみも、綺麗《きれい》に除去せられ、自分は甚だ陽気な能弁家になるのでした。そうして、その注射をすると自分は、からだの衰弱も忘れて、漫画の仕事に精が出て、自分で画きながら噴き出してしまうほど珍妙な趣向が生れるのでした。一日一本のつもりが、二本になり、四本になった頃には、自分はもうそれが無ければ、仕事が出来ないようになっていました。「いけませんよ、中毒になったら、そりゃもう、たいへんです」薬屋の奥さんにそう言われると、自分はもう可成りの中毒患者になってしまったような気がして来て、(自分は、ひとの暗示に実にもろくひっかかるたちなのです。このお金は使っちゃいけないよ、と言っても、お前の事だものなあ、なんて言われると、何だか使わないと悪いような、期待にそむくような、へんな錯覚が起って、必ずすぐにそのお金を使ってしまうのでした)その中毒の不安のため、かえって薬品をたくさん求めるようになったのでした。「たのむ! もう一箱。勘定は月末にきっと払いますから」「勘定なんて、いつでもかまいませんけど、警察のほうが、うるさいのでねえ」ああ、いつでも自分の周囲には、何やら、濁って暗く、うさん臭い日蔭者の気配がつきまとうのです。「そこを何とか、ごまかして、たのむよ、奥さん。キスしてあげよう」奥さんは、顔を赤らめます。自分は、いよいよつけ込み、「薬が無いと仕事がちっとも、はかどらないんだよ。僕には、あれは強精剤みたいなものなんだ」「それじゃ、いっそ、ホルモン注射がいいでしょう」「ばかにしちゃいけません。お酒か、そうでなければ、あの薬か、どっちかで無ければ仕事が出来ないんだ」「お酒は、いけません」「そうでしょう? 僕はね、あの薬を使うようになってから、お酒は一滴も飲まなかった。おかげで、からだの眨婴ⅳ趣皮猡いい螭馈Wだって、いつまでも、下手くそな漫画などをかいているつもりは無い、これから、酒をやめて、からだを直して、勉強して、きっと偉い剑摔胜盲埔姢护搿¥い蓼笫陇胜趣长恧胜螭馈¥坤椁怠ⅳ汀ⅳ亭ぁ%工筏皮ⅳ菠瑜Δ拱陇丹螭闲Δこ訾贰ⅰ咐Г毪铯亭āV卸兢摔胜盲皮庵辘蓼护螭琛攻偿去偿趣人扇~杖の音をさせて、その薬品を棚から取り出し、「一箱は、あげられませんよ。すぐ使ってしまうのだもの。半分ね」「ケチだなあ、まあ、仕方が無いや」家へ帰って、すぐに一本、注射をします。「痛くないんですか?」ヨシ子は、おどおど自分にたずねます。「それあ痛いさ。でも、仕事の能率をあげるためには、いやでもこれをやらなければいけないんだ。僕はこの頃、とても元気だろう? さあ、仕事だ。仕事、仕事」とはしゃぐのです。深夜、薬屋の戸をたたいた事もありました。寝巻姿で、コトコト松葉杖をついて出て来た奥さんに、いきなり抱きついてキスして、泣く真似をしました。奥さんは、黙って自分に一箱、手渡しました。薬品もまた、焼酎同様、いや、それ以上に、いまわしく不潔なものだと、つくづく思い知った時には、既に自分は完全な中毒患者になっていました。真に、恥知らずの極《きわみ》でした。自分はその薬品を得たいばかりに、またも春画のコピイをはじめ、そうして、あの薬屋の不具の奥さんと文字どおりの醜関係をさえ結びました。死にたい、いっそ、死にたい、もう取返しがつかないんだ、どんな事をしても、何をしても、駄目になるだけなんだ、恥の上塗りをするだけなんだ、自転車で青葉の滝など、自分には望むべくも無いんだ、ただけがらわしい罪にあさましい罪が重なり、苦悩が増大し強烈になるだけなんだ、死にたい、死ななければならぬ、生きているのが罪の種なのだ、などと思いつめても、やっぱり、アパ趣人a屋の間を半狂乱の姿で往復しているばかりなのでした。いくら仕事をしても、薬の使用量もしたがってふえているので、薬代の借りがおそろしいほどの額にのぼり、奥さんは、自分の顔を見ると涙を浮べ、自分も涙を流しました。地獄。この地獄からのがれるための最後の手段、これが失敗したら、あとはもう首をくくるばかりだ、という神の存在を賭《か》けるほどの決意を以《もっ》て、自分は、故郷の父あてに長い手紙を書いて、自分の実情一さいを(女の事は、さすがに書けませんでしたが)告白する事にしました。しかし、結果は一そう悪く、待てど暮せど何の返事も無く、自分はその焦燥と不安のために、かえって薬の量をふやしてしまいました。今夜、十本、一気に注射し、そうして大川に飛び込もうと、ひそかに覚悟を極めたその日の午後、ヒラメが、悪魔の勘で嗅《か》ぎつけたみたいに、堀木を連れてあらわれました。「お前は、喀血したんだってな」堀木は、自分の前にあぐらをかいてそう言い、いままで見た事も無いくらいに優しく微笑《ほほえ》みました。その優しい微笑が、ありがたくて、うれしくて、自分はつい顔をそむけて涙を流しました。そうして彼のその優しい微笑一つで、自分は完全に打ち破られ、葬り去られてしまったのです。自分は自動車に仱护椁欷蓼筏俊¥趣摔朐氦筏胜堡欷肖胜椁獭ⅳⅳ趣献苑证郡沥摔蓼护胜丹ぁⅳ去谣楗幛狻ⅳ筏螭撙辘筏靠谡{で、(それは慈悲深いとでも形容したいほど、もの静かな口眨扦筏浚┳苑证摔工工帷⒆苑证弦庵兢馀卸悉夂韦鉄oい者の如く、ただメソメソ泣きながら唯々諾々と二人の言いつけに従うのでした。ヨシ子もいれて四人、自分たちは、ずいぶん永いこと自動車にゆられ、あたりが薄暗くなった頃、森の中の大きい病院の、玄関に到着しました。サナトリアムとばかり思っていました。自分は若い医師のいやに物やわらかな、鄭重《ていちょう》な圆欷蚴埭薄ⅳ饯欷橐綆煠稀ⅰ袱蓼ⅰⅳ筏肖椁长长蔷拆Bするんですね」と、まるで、はにかむように微笑して言い、ヒラメと堀木とヨシ子は、自分ひとりを置いて帰ることになりましたが、ヨシ子は着換の衣類をいれてある風呂敷包を自分に手渡し、それから黙って帯の間から注射器と使い残りのあの薬品を差し出しました。やはり、強精剤だとばかり思っていたのでしょうか。「いや、もう要らない」実に、珍らしい事でした。すすめられて、それを拒否したのは、自分のそれまでの生涯に於いて、その時ただ一度、といっても過言でないくらいなのです。自分の不幸は、拒否の能力の無い者の不幸でした。すすめられて拒否すると、相手の心にも自分の心にも、永遠に修繕し得ない白々しいひび割れが出来るような恐怖におびやかされているのでした。けれども、自分はその時、あれほど半狂乱になって求めていたモルヒネを、実に自然に拒否しました。ヨシ子の謂わば「神の如き無智」に撃たれたのでしょうか。自分は、あの瞬間、すでに中毒でなくなっていたのではないでしょうか。けれども、自分はそれからすぐに、あのはにかむような微笑をする若い医師に案内せられ、或る病棟にいれられて、ガチャンと鍵《かぎ》をおろされました。脳病院でした。女のいないところへ行くという、あのジア毪蝻嫟螭罆rの自分の愚かなうわごとが、まことに奇妙に実現せられたわけでした。その病棟には、男の狂人ばかりで、看護人も男でしたし、女はひとりもいませんでした。いまはもう自分は、罪人どころではなく、狂人でした。いいえ、断じて自分は狂ってなどいなかったのです。一瞬間といえども、狂った事は無いんです。けれども、ああ、狂人は、たいてい自分の事をそう言うものだそうです。つまり、この病院にいれられた者は気摺ぁⅳい欷椁欷胜盲空撙稀ⅴ惟‘マルという事になるようです。神に問う。無抵抗は罪なりや?堀木のあの不思議な美しい微笑に自分は泣き、判断も抵抗も忘れて自動車に仱辍ⅳ饯Δ筏皮长长诉Bれて来られて、狂人という事になりました。いまに、ここから出ても、自分はやっぱり狂人、いや、癈人《はいじん》という刻印を額に打たれる事でしょう。人間、失格。もはや、自分は、完全に、人間で無くなりました。ここへ来たのは初夏の頃で、鉄の格子の窓から病院の庭の小さい池に紅《あか》い睡蓮の花が咲いているのが見えましたが、それから三つき経ち、庭にコスモスが咲きはじめ、思いがけなく故郷の長兄が、ヒラメを連れて自分を引き取りにやって来て、父が先月末に胃潰瘍《いかいよう》でなくなったこと、自分たちはもうお前の過去は問わ
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